回向院 市川別院| EKOIN ICHIKAWA

回向院 市川別院| EKOIN ICHIKAWA

建物名称 : 回向院 市川別院
施  主 : 宗教法人回向院
建設場所 : 千葉県市川市国府台5-26-12
建物用途 : 浄土宗寺院、壇信徒会館、庫裏
構造規模 : RC造+木造 地上2階
敷地面積 : 1,174.89㎡
建築面積 : 447.30㎡        
延床面積 : 574.36㎡
設計監理 : 河原泰建築研究室
構造設計 : 山崎構造設計事務所    
設備設計 : 日永設計
庭園設計 : ランドスケープデザイン  
照明設計 : イリスアソシエーツ
本尊仏師 : 村上清          
仏画絵師 : 石踊達哉
竣  工 : 2009.02

CONCEPT

コンクリートの建物を木の建物で覆う

この建物は、鼠小僧の墓がある両国回向院の別院である。

明暦の大火による死者のために、徳川家綱の命で建立された回向院は、その後も度重なる火災に見舞われ、幾度となく存亡の危機を迎えた。ゆえに両国の本院は、戦災の後、RC造の現代的な建物に建て替えられており、別院の建て替えに際しても、本院と同じように、ご本尊をコンクリートで守ることが求められた。
しかし、江戸川のほとり、市川市国府台のこの別院の境内には、都心にほど近い場所とは思えないほど豊かな自然が残されていた。昭和初期に建てられた旧本堂の木造建物は、周囲の緑の中にひっそり見え隠れして、どこかほっとするたたずまいであった。

この貴重な景観を壊したくないという思いから、コンクリートの本堂を木造の建物ですっぽり覆ってしまうことを提案した。

蓄熱容量が大きいコンクリート造を木造の緩衝帯でくるむことは、熱環境的に有効であり、木造の耐震コアとしてコンクリート造を使えることは、構造的にも合理性があった。
前例の少ない構造形式であるため、確認申請を通過させるには大変な労を要したが、実現した建物を遠目からみると、まるっきり木造の姿でまわりの樹々となじんでいる。檀家へのお披露目の落慶式では、「昔からこの地に建っていたようだ」とのお言葉を頂き、この構造形式に固執した甲斐があったと感じ入ることができた。

コンクリートにかぶさる木造屋根は、仏教寺院のならいに従い、ご本尊の上がもっとも高くなるようにしているが、これもなだらかな丘状にして、あまり主張せず、ひかえめにランドスケープの一部となることを目指した。

PHOT GARALLY

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