本建築家協会の主催で、2008年に実施された設計コンペティションの入選案。阪神電鉄が実施主体となって、2010年完成を目指した有料展望台の建物案を募集したものであり、、学生時代に何度も通った六甲山が舞台となっている。
この場所には、かって回る有料展望台(十国展望台)が建っていた。しかし施設の老朽化と、ただ回転するだけという、有料施設としてのソフトの脆弱さにより、取り壊されたまましばらくハゲ山として放置されていた。

JIA U-40 COMPETITION
六甲山上の展望台
入選作品
ループによるリング構造

スバコをめぐるループは12%勾配。一筆書きで上って下りてくる。H-150×150×6×9を桁とし、両面に鉄板を溶接することで、リング構造を形成する。スバコはループに緊結するため、150φの斜め柱1本で鉛直力を支えれば、直径3mのスバコが宙に浮かぶ。スバコは軽量鉄骨を骨組みとし、中のアイテムまで含めて工場で製作する。現場にはトレーラーで搬入し、クレーンで吊って球体下部のベースにボルト止めする。容易に脱着可能であり、定期的にアイテムを入れ替えることができる。
スバコはさまざまな願望を助けるためのアイテムボックスである。スバコのアイテムは、外に向かっても発信される。プラネタリウムスバコでは、内部の星の輝きが外部にも映し出され、アクアリウムスバコでは、発光クラゲが優雅に漂う姿を外部からも鑑賞できる。スバコをつなぐのは、樹の下の空中ループ。スバコの価値を高めるには、並ばないと利用できない状態を維持することが望ましい。待てない人はループをめぐるだけでも楽しめるようになっている。ループだけの利用は200円である。
15分間ひとときの夢〜6つのスバコ

中に浮かぶ樹の下のスバコ。阪神間でもっとも高い場所に位置するシェアスペースである。天覧台であくまでも均等に間隔を保ちながら杭のように並ぶカップルを見て、またビューパレスの前で今にも寝転びそうなハイカーの姿を見て、ちょっとの間だけ空間を占有できる場所があれば喜ばれるのではないかと思った。
そこで頭に浮かんだのが、秘密基地のような、茶室のような、カラオケボックスのようなスペースである。樹の必要性を感じていたので、人間のためのスバコがいいだろうと思い至った。
この場所を200円〜500円で15分間だけ貸し出す。料金に幅があるのは、スバコの中に絶景を見ながら「●●をしたい」という願望を助けるそれぞれ趣の異なるアイテムを組み込むためである。「感動したい」人のためのプラネタリウム、「愛を語りたい」「プロポーズしたい」人のための防音スタジオ、「まったり憩いたい」人のためのゲルマニウムマッサージ、「癒されたい」人のためのアクアリウム、「接客したい」人のためのメディアリビングなど、さまざなまアイテムが考えられる。


こで、河原泰建築研究室が提案したのは、特別な空間を占有できる新たな展望台の提案である。


新たな有料展望台のあり方

甲山は、関西に住む人にとって、身近なレジャースポットである。ハイキングしたり、山頂の牧場や植物園・遊園地・人工スキー場で家族や恋人と遊んだり、阪神間をすべて見渡せることから友人・知人を案内したり等、さまざまな目的で多くの人が訪れる。そして、まばゆいばかりの1000万ドルの夜景を見ることができる絶景スポットとして有名である。しかし近年はレジャー施設や観光スポットとしての目新しさは薄れており、入山者数は横ばいで推移しており、開発を担う阪神電鉄からは新たな魅力づけが求められていた。

建物名称:六甲山上の展望台
建設場所:兵庫県神戸市
建物用途:有料展望台
構造規模:鉄骨造
設   計:河原泰建築研究室
構造協力:山崎構造設計事務所

トイレ1
トイレ2
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