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PHOT GARALLY

建物名称:回向院市川別院
施   主:宗教法人回向院
建設場所:千葉県市川市国府台5-26-12
建物用途:浄土宗寺院、壇信徒会館、庫裏
構造規模:鉄筋コンクリート造+木造 地上2階
敷地面積: 1,174.89u
建築面積:  447.30u 延床面積:  574.36u
設計監理:河原泰建築研究室
構造設計:山崎構造設計事務所

設備設計:日永設計 照明設計:イリスアソシエーツ
庭園設計:ランドスケープデザイン
本尊仏師:村上清 仏画絵師:石踊達哉

ICHIKAWA
EKOIN TEMPLE
コンクリートの建物を木の建物で覆う

この建物は、鼠小僧の墓がある両国回向院の別院である。明暦の大火による死者のために、徳川家綱の命で建立された回向院は、その後も度重なる火災に見舞われ、幾度となく存亡の危機を迎えた。ゆえに両国の本院は、戦災の後、RC造の現代的な建物に建て替えられており、別院の建て替えに際しても、本院と同じように、ご本尊をコンクリートで守ることが求められた。
しかし、江戸川のほとり、市川市国府台のこの別院の境内には、都心にほど近い場所とは思えないほど豊かな自然が残されていた。昭和初期に建てられた旧本堂の木造建物は、周囲の緑の中にひっそり見え隠れして、どこかほっとするたたずまいであった。この貴重な景観を壊したくないという思いから、コンクリートの本堂を木造の建物ですっぽり覆ってしまうことを提案した。蓄熱容量が大きいコンクリート造を木造の緩衝帯でくるむことは、熱環境的に有効であり、木造の耐震コアとしてコンクリート造を使えることは、構造的にも合理性があった。
前例の少ない構造形式であるため、確認申請を通過させるには大変な労を要したが、実現した建物を遠目からみると、まるっきり木造の姿でまわりの樹々となじんでいる。檀家へのお披露目の落慶式では、「昔からこの地に建っていたようだ」とのお言葉を頂き、この構造形式に固執した甲斐があったと感じ入ることができた。
コンクリートにかぶさる木造屋根は、仏教寺院のならいに従い、ご本尊の上がもっとも高くなるようにしているが、これもなだらかな丘状にして、あまり主張せず、ひかえめにランドスケープの一部となることを目指した。